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【他頭飼いについて考える vol.1】多頭飼いを始める前に考えたい「愛犬の幸せ」と迎えるタイミングの真実【ドッグトレーナー監修】

2026.03.24

「もう一頭いたら、うちの子も寂しくないかも」そんなふうに考えたことはありませんか?新しい家族を迎える多頭飼いは、楽しさが増える一方で、先住犬の生活を大きく変える決断でもあります。この記事では、愛犬にとって本当に幸せな多頭飼いのタイミングと、見落としがちな判断基準についてプロの視点でお伝えします。

多頭飼いは素晴らしいけれど「福祉の向上」が鍵になる

まず最初にお伝えしておきたいのは、私自身も多頭飼いの経験があり、その素晴らしさを十分に実感しているということです。犬同士が寄り添う姿や、家族としての賑やかさが増すことは、飼い主にとっても犬にとっても大きな喜びになります。ただし、多頭飼いを検討する上で最も大切にしてほしいのは、「新しく迎える子と先住犬、双方の福祉が向上するかどうか」という視点です。

どちらか一方の犠牲の上に成り立つ生活ではなく、新しい家族が増えることで、お互いの生活がより豊かになるか。この「福祉の視点」こそが、多頭飼いを成功させるための最も重要な鍵となります。

今の暮らしは「いい感じに満たされている」でしょうか?

多頭飼いを考える前に、一度立ち止まって自問自答してみてほしいことがあります。「いま目の前にいるこの子は、日々いい感じに満たされているか?」という問いです。少し厳しい言い方に聞こえるかもしれませんが、「もし自分が犬だったら、今の自分(飼い主)と暮らしたいか?」と想像してみることは、愛犬との関係を見つめ直す良いきっかけになります。

完璧である必要はありません。ただ、愛犬のニーズが満たされ、飼い主さんとの関わりを十分に持てているか、不安や恐怖に怯えることなく過ごせているか。こうした日々の積み重ねが、新しい子を迎えるための土台となります。

国際的な指標「5つの自由」でチェックする愛犬の現状

犬が「満たされている」状態を判断する基準として、国際的な指標である「5つの自由(5フリーダムズ)」があります。特に以下の項目は見落とされがちですが、多頭飼いにおいて非常に重要です。

恐怖や抑圧からの自由、正常な行動を表現する自由、そして苦痛や不快からの自由。これらの福祉への配慮が欠けている状態で新しい犬を迎えると、現在抱えている問題がさらに複雑に絡み合ってしまう可能性が高くなります。もし今、先住犬との生活で大きな課題を感じているのなら、まずは目の前のその子とじっくり向き合う時間を優先させてあげてください。ちなみに、この指標をさらに発展させた「ファイブ・ドメインズ・モデル」という、より細やかな福祉の考え方も存在します。

多頭飼いの労力は「2倍」では収まらないことも

先住犬が落ち着いてくる2歳から5歳くらいになると、「そろそろ次の子を」と考える飼い主さんは多いものです。先住犬に体力があるうちに迎えるのは一つの手ですが、ここで注意したいのは、子犬のお世話を先住犬に押し付けないことです。子犬は無限の体力で先住犬に遊びを求めますが、成犬と子犬では興味も遊び方も異なります。

先住犬が子犬の相手で疲れ果ててしまうのは、大きなストレスに繋がります。飼い主さんがしっかりと間に入り、それぞれが個別に休める時間や、飼い主さんと一対一で過ごす時間を確保してあげてください。多頭飼いは楽しさも増えますが、一頭一頭への責任と配慮を忘れないことが、幸せな多頭飼い生活への第一歩となります。

新しい家族を迎えることは、飼い主さんにとっても愛犬にとっても大きな転換点です。では、具体的に「多頭飼いの日常」ではどのような変化が起き、何に気をつけるべきなのでしょうか?

次回のVol.2では、「散歩は1頭ずつが理想?」「多頭飼いで留守番の寂しさは解消されるのか」など、意外と知られていない犬の心理と、多頭飼いのリアルな労力について詳しく解説します。

【監修者プロフィール】

藤田 かつとし(ふじた・かつとし)
 ドッグトレーナー/行動学をベースにしたアニマルウェルフェア実践家
犬の行動学とアニマルウェルフェアの観点を組み合わせ、“犬と人が互いにストレスなく暮らせる関係づくり”を軸に活動するドッグトレーナー。
これまで多くの問題行動や、興奮・吠え・噛みつき・怖がりなどの悩みを抱える犬たちと向き合い、
 科学的根拠に基づいたトレーニングと発散設計で改善へ導いてきた。
特に、「犬の欲求を満たすことが行動を整える」とするウェルビーイング志向のアプローチに定評があり、
 犬の保育園「ハッピーランドハレルヤ」でも現場指導・プログラム設計を担当。
散歩・嗅覚刺激・知的刺激・社会的刺激・咀嚼など、犬の“5つの発散”を丁寧に読み解き、その子に合わせた行動プランを構築することを得意とする。
「犬の行動には必ず理由がある。その理由を理解すれば、犬も人ももっと幸せになれる」という想いのもと、飼い主への丁寧な解説と寄り添いを大切にしている。
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